第2回「親鶏とは何か、その魅力とは」

皆さんは「鶏肉」と聞くと、どんな鶏肉を思い浮かべるだろうか。おそらく、柔らかくて食べやすい「若鶏」ではないかと思う。
今では当たり前になったブロイラーは、昭和35年頃、私が高校生の時分にアメリカから日本に入ってきた。食肉用として育てられ、生後2ヶ月程で出荷される。まだまだ「子供」のうちに食卓へやってくるわけだから、肉は柔らかく食べやすい。
では、採卵鶏の「親鶏」とは何だろう。
採卵鶏は、卵を産むために飼育され、だいたい生後5ヶ月頃から卵を産み始め、約2年間にわたり卵を産み続ける。そして、その役目を終えた鶏が食用として供給されている。
親鶏は、若鶏より長く成長している為、肉質がしっかりしていて、正直に言えば硬い。
でも、ここが親鶏の面白いところ!「硬い=おいしくない」ではなく、若鶏にはない歯ごたえがあり、噛むほどに旨味が出てくる。まさに「噛んで、噛んで、わかる美味しさ!」なのだ。
薄く切ったり、筋を考えて切ったり、じっくり煮込んだり、圧力鍋を使って時短料理をしたり。調理方法を工夫することで、親鶏ならではの味を楽しむことが出来る。
それから親鶏の魅力は肉だけではなく、内臓である肝、キンカン(腹卵)、卵道などにも、親鶏ならではの美味しさがあると確信している。特に肝は、臭みがなく美味しいところも魅力の一つ。
普段、私達が何気なく食べている鶏肉だが、肉だけでなく、こうした内臓まで含めて味わえるのが面白さ。ガラも、これがまた旨味の深い出汁がとれるのだ。
さらに親鶏は、脂質が少なく、良質なたんぱく質が摂れるヘルシー食材というのが魅力であろう。
また親鶏の正肉は、ミンチに適しているとも言われているので、そぼろ、肉団子やハンバーグ等料理方法がいくらでもあるのだ。話しているとお腹が空いてくる!
そして、親鶏には「食文化」という価値がある。
関西以西、特に九州や四国などでは、今でも親鶏を好んで食べる地域がある。一方、東日本ではブロイラーの普及によって、昔からあった親鶏の食文化がほぼ失われてしまっている。
だからこそ、私は今一度若い皆様にも親鶏をもっと知って欲しい。
歯ごたえがある。噛むほどに旨い。肉の味がしっかりしていて、出汁をとった後の肉でも旨い。
脂質が少なく、良質なたんぱく質も摂れる。そして、肝・キンカン・卵道など、内臓にも魅力がある。
昔から受け継がれてきた食文化を、今の人達にも、そしてこれからの世代の皆様にも知ってもらいたい。
「硬いだけの親鶏」ではなく、「長い時間をかけて育ったからこそ生まれる歯ごたえと旨味」。
それが、私達が伝えていきたい親鶏の魅力である。
